Black★Joker【完結】


「何か飲み物持って来るわ」


「……うん、ありがと」


お母さんが席を外すと、おばさんはあたしの方に体を向けて薄い唇を開いた。


「優ったら最近やたらと帰りが遅いのよ。美空ちゃん、何か知ってる?」


「帰りが……遅い?」


「そう。今までは学校が終わるとすぐに帰ってきていたのに。最近じゃ23時過ぎに帰ってくるなんてざらなのよ」


おばさんは少しだけ苛立った様子で唇を噛む。


あたしは恐る恐る口を開いた。


「優にその理由、聞きましたか?」


「聞いたわ。でも答えてくれないのよ。だから美空ちゃんに聞きに来たの」


優……バイト始めたことおばさんに言ってないんだ。


何で秘密にするんだろう……。


おばさんの痛いほどの視線を浴びながら、あたしは目を伏せた。