「美空ちゃん、おかえりなさい」


コーヒーの香りが漂うリビングに足を踏み入れて、あたしはハッとした。


「あ……おばさん、久しぶりです」


コーヒーカップをテーブルの上に置きながら、おばさんはニコリと笑う。


久しぶりに会った優のお母さんは少しだけ痩せた気がした。


というより、やつれているようにも見える。


前はもっとふっくらしていて柔らかい印象があったのに。



「久しぶりね。元気だった?」


「はい……」


隣同士の家に住んでるのに「元気だった?」って聞くのってなんか変な感じ。


でも、あたしとおばさんは数年間ほぼなんの関わり合いもなかった。