どうして龍馬に心を奪われてしまったんだろう。 さっきの女の人の口ぶりからして、龍馬とは昔からの知り合いだ。 少なくとも、あたしより龍馬のことをよく知っている。 でもあたしは、 龍馬のことを何も知らない。 「もう……最悪だよ……」 龍馬と一緒にいられる貴重な時間だったのに。 それを無駄にしてしまった。 さっきまであんなに楽しく過ごしていたのに。 ツーンッと鼻の奥が痛んで、慌てて唇を噛む。 すると突然、ガシッと誰かに腕を掴まれた。