「あー……今日は無理だな。可愛い妹はクラブに連れて行けないし。また今度な?」
「えー?どうして?」
「可愛い妹に手を出す男がいるしかもしれないから」
「じゃあ、妹ちゃん家に送ってから出てきなよ?」
女の人の「妹ちゃん」という言葉を聞いた瞬間、全身がカッと熱くなった。
あたしは龍馬の妹じゃないよ。
妹なんて呼ばれたくない。
……――龍馬の妹になんてなりたくない!!
「……あたし、帰るから!!」
「あ、おい……――美空!!」
背中に龍馬の低い声がぶつかる。
あたしはその声を無視して、勢いよく走り出した。



