「もしかしてあなた、龍馬の彼女?」
「え……?」
顔を上げると、女の人の大きな目があたしを捕えていた。
その目に浮かぶ好奇心に気付き、首を横に振る。
「いえ……あたしは……」
龍馬の彼女じゃない。
「違うって。この子は俺の妹みたいなもん。可愛いだろ?」
あたしが答えるより先に、龍馬はそう言ってあたしの頭をポンッと叩く。
「うん、すごい可愛い。でも可愛い妹に手出すんじゃないわよ?」
「分かってるって」
「あ、そうだ。今度またクラブ行こうよ?みんな龍馬のこと待ってるよ?」
「暇があったらな」
「今日もイベントあるよ?暇なら一緒に行かない?」
女の人は身ぶり手ぶりを交えて龍馬に話しかける。
あたしはどうすることもできず、ただぼんやりと女の人のキラキラと輝く指輪を目で追っていた。



