「でも逆に、あたしにはコーヒーの良さが全然分かんないよ」
「飲めないのか?」
「うん。小さい時にお父さんのコーヒー飲んだらすごい苦くてトラウマになったの。あれから一度も飲んでない」
「案外うまいかもよ。飲んでみる?」
龍馬は「ほら!」と挑発的な表情であたしに缶コーヒーを差し出す。
「……えぇ?!いいよ!絶対不味いもん!!」
「美空も子供だな」
「子供じゃないもん!!」
頬を膨らませるあたしを見てクックと喉を鳴らして笑う龍馬。
「じゃあ、あたしのミルクティーと龍馬のコーヒー交換して飲もうよ!!」
「いいよ。ほら、貸せ」
龍馬はあたしのミルクティーを手に取り、コーヒーをあたしに手渡した。



