「始めても良いかな?
桐銛 莉子(キリスキ リコ)さん」


彼、長谷川サンはそう言って私を見た。





上からでも下からでもない。

メスシリンダーの計測をするような、鋭い淡泊な眼。



「あ、はい」



仕事の顔なんだろうな、なんて考えが浮かんでいた思考を一旦止めて返事をする。





彼は二枚のカードを指し示し、彼の言う所の"ゲーム"の説明をはじめる。






「ルールは簡単。
今から僕がする質問にどちらかのカードを選んで答える。
それだけです」



このゲームには、勝ち負けも、正答も誤答もないとつけ加えた。




ゲームなわけがないと思ったけど、言う気にはならなかった。













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