同じ学校同じクラスに通う双子が呆れるように、紗耶香のその行動は世話をする側としては当然であり、無自覚だ。


嫉妬なんて、我ながら女々しい奴。と、考えると、やはり苦々しいため息も出てしまうのだ。




しかし、彼女自身も決して頑丈な方ではないのが救いなのかもしれない。


「おい紗耶香!ふらふらしてんじゃねーか」
「え?大丈夫だよ…?」
「お前の"大丈夫"はあてになんねーんだよ。邪鬼ー」
「…お、おうっ!」

黙考にふけっていたところに、晃矢の声が飛んできた。
見ると、動き過ぎたせいか、確かに顔色が悪い。

「大丈夫か?紗耶香。あんま無理すなや…」


何処からそのエネルギーが出ているのかと感じるほどに支えた肩は華奢で、儚い印象を残す笑顔は可憐だった。
…思わず、体が、顔が、熱を帯びる。


「とっとりあえずっ少し休みぃ!な?」
「…うん。じゃあ、そうしようかな」

晃矢の双子の弟、泰斗が顔を覗かせる。

「兼井、奥の部屋にベッドがあるから少し寝てきなよ」


その言葉に改めて紗耶香を見ると、確かに眠そうだった。

「その方がえかろうな」
「そうかな…じゃあ、うん少し寝ようかな」