ボディーガード

ナタリーを迎えに部屋を出る前に、僕はもう一度二日前の夜のことを想い返した。

あのとき彼女を抱きしめた感覚が、まだこの両手に残っていた。

それが紛れもなくあの日の出来事が現実のものだと教えてくれた。

三ヶ月前に歩みだしたそれぞれの道が、再び一つに交わった。

ナタリーとまたこの部屋で暮らせるのだ。

僕の車では、彼女の荷物を運ぶのに何度か往復しなければならないだろう。

それでも構わない。

時間ならたっぷりとある。

時刻を確認すると、僕は車のキーを握り締め部屋を後にした。



左腕に着けられたその腕時計は時を正確に刻み続けていた。