毎年クリスマスの時期になると兄は帰国した。

そのときには必ず僕へのクリスマス・プレゼントを買ってきてくれた。

リヴィング・ルームに飾られた大きなクリスマス・ツリーの前に置かれた数々のプレゼントの中で、クリスマス当日の朝、僕はいつも兄からのものを真っ先に開けた。

中身は何だってよかった。

兄からプレゼントを貰える、そのことが僕にとって何よりも嬉しかった。
 
兄と久しぶりに過ごすこの僅かな期間で、僕は兄が以前と変わらず優しい兄であることを知り、いつもほっとしていた。


しかし、それでも兄がさらに大人になっていることを子供ながらに感じていた。