音が聞こえて、世羅は顔を上げる 誰か来たのかもしれない 忘れていたが、この迷路から抜け出さなくては ────────セーラ? その声に、思考が止まる 動いていた視線が、ピタリと動きを止める 指先が痺れたように、動かない 心臓が、早く鼓動を打つ 《・・・・・・・・・・・・・・・・・・》 近くに感じる、人の気配 世羅は強く拳を握り締め、恐る恐る、顔を上げた