傍らに感じたのは、女性の気配

あり得るはずがないのに、僕は思わず口にしていた


《・・・・・・エマ?あぁ・・・・・・、エマか・・・》


頭がはっきりして、その姿をきちんと捉える

当たり前だ

彼女がいるはずない


《いつの世も、男を惑わすのは金か地位か女か・・・。王族の憐れな定めなのかしらね・・・》


エマは、呆れたような、確かめるような、悟ったような顔で、僕を見つめている


《私は、私が正しいと思うことをするわ。それに、〝あの子〟が応えるかは分からない。それでも、運命が貴方たちを引き合わせたいと願うのならば、全ては貴方たちの望むままに───》