父上の容態は、思っていたより軽いものだった 安心したレオナードは、久しぶりの我が家、王室を見て回った 通っていた高校にも、世羅と出会った空港にも、どこにも無い雰囲気の満ちた、【自由のない世界】だ 自分が生まれ、育ち、永遠に逃れる術を知らぬまま、この世界で生きていくのだ ここには、気軽に話しかけてくる同級生はいない 本で溢れかえる王室の図書館へ出向いても、逢いたい人はいない どこへ行っても、どこへ行けても、逢いたい人には逢えない