優しい抱擁だというのに、その腕の力は強かった 一瞬、抗おうと思った けれど、世羅にはできるはずもなかった 何度、触れることを願っても、叶わないと思っていたことが、今、叶っている 「あ・・・」 今まで我慢してきた涙が、溢れそうになった 《僕は・・・》 「殿下・・・?」 レオナードが口にしたのは、日本語ではなかった 《僕はなんて・・・、弱いんだろうッ》