EMERALD



「は、離してくれる?」


冷静を装って、世羅は手を引こうとする

その手を、レオナードが更に強く握りしめる


「本当に、それが理由なのかい?」

「・・・・・・本当よ。だから、離して・・・」


ゆるめられたレオナードの手から、世羅が素早く手を抜く


「迎えが来たら、勝手に帰って」


鞄を持ち直し、世羅はテーブルのかすみ草に目を向けた


「これ、あげるわ。餞別にでも」