「何?その驚いた顔。
そんなに驚くようなことした覚えないんだけど」


そう言ってけらけらと笑う彼の姿に
あたしは未だに呆然とするだけ。


「ねー。先生。
本当どうしたの?
もしかして具合でも悪い?」


下から覗き込むように見つめられたその顔に
ふと我に返ったあたしは、あまりの胸の高まりに挙動不審になる。


「…あ。
だ…大丈夫。
うん。
で、ど…どうしたの?赤谷君は…」


まだ不審そうな顔であたしを見つめる彼に
突然意識してしまった心はもう止められない


「どうしたって…
終業式終わって、教室に帰ろうとしたらぼーっとしてる先生が見えたからさ。
こっちこそどうしたのかなー?って思って」


「え?…あぁ。
うん。
ちょっと考え事してたのかも。
…多分。

あっ!ほら。
早く教室戻った方がいいんじゃない?」



支離滅裂な言葉と言動。

本当にあたしったらどうしちゃったんだろう。
きっと顔も真っ赤だし。
アタフタしすぎだし。

こんなんじゃ絶対変に思われるに決まってるじゃない!