「ご…ごめんなさい。
ちょっと考え事してて」


「…ったく。
不安の一言につきるわね。

何であなたみたいな先生が…。」


未だにあたしに対し苛立ちを隠せないのか
主任の先生はあたしの顔を見て大きなため息をついた


「…え?
何のことですか?」


「夏休みのこと。
三年生の補習があるのは知ってるわよね?」


「あぁ。はい。
あの…受験生のためのってやつですよね?」


毎年行われている夏の補習。
三年生の多くの生徒が塾に通う中
少数ではあるけれど学校の補習を頼りにしている生徒もいる

そういう生徒たちのために私たち教師は、毎年分担をして補習を開講するのだ


「一週間。
あなたに英語のクラスを任せることにしたから」


「……え!?
私に??」


「そーよ。
あなた一応生徒からの評判はいいみたいだし。
この前の会議で一週間くらいなら、任せてみてもいいんじゃないかって。

ただし。
その補習までに授業計画と内容レポートをまとめること。
いい?」


「は…はい!
頑張ります!」



単純に嬉しかった。
まだ新任のあたしに一つのクラスを任せてもらえるなんて。


特に受験生はデリケートな時期だ。
それ相応に責任ものしかかってくる



「じゃぁこれその資料だから。
来週までには目を通しておいて」