「…せんせー」


先生の怪我の手当てをした後

俺は長いこと会えなかった分、思いっきり強く先生を抱き締めた

先生の存在を確かめるかのように

強く強く。



「あの…赤谷君。
ここは他の生徒も来そうだし…
もうこれ以上バレるわけにもいかないから、他の場所で…」


その言葉に

他の場所ならいいんだ。なんて少しだけ心の中で笑う



確かにここは保健室で。

ましてや学校の中で。

何より俺は先生の生徒だ。



だけど

この一瞬。本当にこの一瞬だけは全てを忘れて

少しだけ俺の方が有利な立場で先生を見ていたかった



「好き」


そんな言葉一つで舞い上がる俺の


子供で

馬鹿で

幼稚な精一杯の背伸びを理解したかのように

先生は全てを受け止めてくれたんだ