“先生”

何度も君に呼ばれた言葉なのに
未だに何だか慣れない自分がいる


「…もう無理だよ」


やっと出すことができた自分の声は
自分が思ってたよりずっとしっかりした声で
何だか拍子抜けした



その声に反応した彼の手に
さっきよりもぐっと力が入って
あたしは突然の痛みに顔をしかめる



「先生はいつも勝手すぎるよ…

何で…
なんでいつも一人で決めちゃうんだよ」


彼の声が虚しく教室に響いた後
彼はそっとあたしの肩から手を離した