あたしを見る彼の目が
弱く揺れたのをあたしは見逃さなかった



「…せんせー、ずるいよ」


「…?」


「俺今日、決めてたんだよ。
ちゃんと先生に言いたいこと全部言おうって…
決めてたのに。

そんなこと言われちゃったら、俺どうしていいか分かんないじゃん…」


そう言った彼はそっとあたしに近づいて
悲しそうに笑った


「本当はさ、いっぱい言いたいことあったんだよ。
だから今日はかなりの覚悟決めてたのに。

やっぱダメだな、俺。
先生目の前にしちゃうと、全部許したくなる。

まじで意思弱すぎ。」



一つ一つの言葉が

あまりに重くて


苦しくて

辛くて

そこから逃げ出したかった



どうしてだろう。

こんなにも愛されているという事実が、たった今。

手を伸ばせばすぐそこにあるのに

どうしてこんなに胸が痛くて


辛いんだろう



ぎゅっと抱きしめられると
そんな不安が一瞬で消えてしまいそうで怖くなる




「ずっとずっと俺の傍にいてよ…せんせー」