「え!?
先生来るの?」


その夜いつも通りの時間に寛人に電話をかけ、遠征についていくことを伝えると
彼からはあたしが想像していた返事とは違う答えが返ってきた


「…何で?
何かダメなことでもあるの?」


「いや…ダメじゃないけど。」


「じゃぁどうして?」


もしかして浅岡さんがいるから?だなんて絶対に口に出せない疑問がよぎるけど
あたしは必至にそれを頭の隅に追いやる


「だって…
先生が見てたら緊張して本領発揮できない」


「…え?」


「そりゃぁー、先生にはかっこいいとこ見せたいじゃん。」


寛人の拗ねた声が電話に響いた後
あたしの口角は一瞬にして上がってしまった


「…ぷっ」


あまりの可愛さに思わず噴き出してしまう

さっきまでのもやもやした気持ちなんて一瞬でどこかに飛んでいってしまった


「ひどいよ!先生。
笑うことないじゃ~ん」


「…違う違う。
寛人があまりにも可愛いこと言うから」