未来観測

「良かった。
それなら、試験終わったらいつでも来てね」


「…うん」



さっきまでズキズキと痛んでいた足は
いつの間にか痛みを失っていて

ただそこに存在する印のようにも思えた



「じゃぁ俺教室戻るね」


「うん」


「また夜に電話する」




まだ未来がそこに存在する

あたしの手が届く範囲に
まだ見える範囲に存在する




罪悪感はなかった。

教師なのに何をやっているんだろう。とか
今後の彼の人生だとか

そんな道徳的なこと
考えている余裕なんてなかった


だって。


あたしたちは学校というモラルの固まりみたいな場所で罪を犯し続けて

笑っちゃうくらいに


そこから抜け出せなくなっていたんだから