誰かが耳元で囁いた


未来の見えない恋は堕ちてゆくだけだ。と



目の前で必死にあたしを求める彼を見ながら
あたしはそのことを心の隅に止めた


そして今だけは。

今だけはどうか素敵な夢を見させて下さい、と強く願うの。





好きというこの奇跡みたいな感情の成れの果てを知っていたのは
他でもないあたしで

現実の裏側に垣間見える想いを信じたのも
あたしだった




「…っ」


無音の保健室に響く二人の情事は
甘く溶けて消えていく


息をするのももったいないと感じるくらい
あたしは彼に溺れていた

もうどうしようもないくらいに。