その時間の保健室は信じられないくらい静かな空間で
いつもとは違う彼の様子に、何だか言いようのない不安を覚えた


「先生の言葉ちゃんと信じたいのに、俺が勝手に不安になって…先生に迷惑ばっかかけてごめん。」


「…だから謝らないでって言ってるじゃん」


「…うん。
でも…」



この気持ちをどう表したらいいんだろう

こんなに苦しくて、でも決して嫌じゃないこの気持ちは
どんな言葉にも当てはまらない気がした



「何かかっこ悪いね、俺。」


「え?」


「“触るな”なんて…
先生は俺の物でもなんでもないのに」


そう言って自嘲気味に笑う彼の姿を見て
あたしは咄嗟に彼の手を握ってしまった



「…せんせー?」