数分後。
カーテンを開け、教室の空気を入れ替える

すると少しだけ見える校庭から
楽しそうに後輩たちとボールを蹴る彼の姿が見えた

彼が笑ってる。
ただそれだけのことで胸が温かくなって
心から幸せだな、とそう思えた



だからかな。

校庭のベンチから彼に注がれる視線に
見て見ぬふりをしたのは。


時々視線を送り
またそらして

そして諦めたようにため息をついた彼女は
手に持っていたタオルを彼にを手渡した




“これもマネージャーの仕事だから”


彼女はそんなメッセージを伝えたのだろうか。


そして彼は彼女に対し


“ありがとう”とでも答えたのだろうか




そんな二人の様子を見ながら。


あたしは自分自身が底のない
真っ暗な暗闇に堕ちていく様を

肌で感じていた