いつもよりソワソワした気分で
教室の椅子に座る

あたし以外の英語の教師はこの時間、会議やら早上がりで誰もいない。
彼と会うには絶好のタイミングだった



昨日。
廊下を歩いていた時、たまたま見かけた光景に
あたしは自分でも驚くほどの最低な気分に陥った


三年の廊下で赤谷君に抱き着く女の子。
いつの日か補習の時に、すごく仲の良い女友達がいると言っていた

二人で大笑いするその姿に、胸がチクチク痛むと共に
激しく嫌な感情が芽生える



“触らないで。
それ以上触れないで”



体中が醜い感情でいっぱいになった


あの笑顔も
あの優しい表情も
あの柔らかい手も
何もかも。

全部全部あたしのためだけに存在すればいいと

そんな風に願ってしまったあたしは

自分の中の大きな変化に気付かざるを得なかったんだ