「…ど、どうも。」


何とも素直じゃない先生の言葉に
お決まりのように大爆笑してしまう俺。

その後。
やっぱり真っ赤になっていた先生を俺は存分にからかい
そして会議時間に遅れる!と騒ぎたてる彼女を尻目に

明るい挨拶を残して教室を後にした




“俺は先生のこと好きだよ”




きっかけなんて分からない。
気付いたら俺の中に先生がいるのが当たり前になっていて

今日はこれを話そう。
明日はこれを聞こう。

こんな風に、いつの間にか先生が俺の一日の中心になっていた



俺の話しに大声で笑う先生。
ちょっとからかうと耳まで真っ赤になる先生。
生徒相手にかなり大人げない先生。

本当に可愛い可愛い先生。




先生が俺のものだけになればいいのに。


そう思った瞬間
俺は自分の気持ちを認めざる得なかった





でも。
これは今日でお終い。

期間限定の気持ち。


この補習さえなければ先生と俺が関わることはないし
俺も必要以上には近づかない


叶うはずのない恋に時間を使うほど
俺も馬鹿じゃないから


きっと会わずにいれば
自然と気持ちも消えていくだろう

この時はそう
自分に強く言い聞かせたから


想像もできなかったんだ

未来に自分がどうなるかなんて。


ましてや先生と俺との未来だなんて




この時は想像もできなかったんだよ






―HIROTO'S STORYⅠ END―