【BL】ビターハニー

違う意味で、身の危険を感じる…。

気持ち後ろに逃げながら、たらり、と流れた冷や汗を右手で拭う。

「…で、オレにどうしろと?」

「どうもしないよ?知って欲しいだけだから。」

その言葉にホッとしながらも、不安はあった。

恋愛に『知って欲しい』だけ、なんて通用しない。
欲張りになって、相手を欲しくなる。

だから。
念を押した。

「オレ、多分そういう意味で好きにならんよ?」

「うん。でも、まあ未来なんて誰も分からないし。」

あっけらかんとした、明るい返事。
要は諦めない、ということだ。


それじゃあ、勝手にすればいいと思う。
相手の気持ちなんて、どうこう出来るもんじゃないけんね。

「じゃあ、好きにすれば。オレは、知らない。」

「うん。好きにするよ!匡さん!!ありがとう!」

「いや…礼を言われても…」

変わった外人だ。
だが、なんだか悪い気はしない。
そう、思って少し微笑んだ。




こうして、オレとカインの奇妙な関係が始まり、今に至る。んだが…。

今思えば、作為的な気もする……が、始まったもんは仕方ない。
なるようにしかならない、と思う。




しかし、そう考えたことによって、オレの人生の歯車はギシギシと音をたて、違う方向に回り始めたのだった。





。