「え・・・そんな事言われたの・・・!?そんな付き合い方で奈緒はいいわけ!?」



栞は本当に心配してくれていた。



「ううん、そりゃよくないけど…でも今は陸さんのそばにいれるだけでいいんだ」



「・・・奈緒は陸さんに会うために毎日こっそり家を抜け出してきんだもんね・・・親厳しいのにさ。
奈緒の気持ちは十分わかってたし。
総長の女って大変だと思うけど、あたしもできる限り協力する。
ってかさ、本気になれないっていうなら奈緒が本気にさせればいいじゃん!!」


「ええー!無理無理っ」


「何言ってんの!そんなのやってみなきゃわかんないでしょ!・・・頑張れ!奈緒!!」



栞はあたしの手をぎゅっとにぎってくれた。



「・・・栞ありがと。でも本当信じらんないよ・・あの陸さんの彼女なんて」


今となって実感がわいてきた。


体の芯から震えてくるのがわかる。




「だよねぇ・・・あんたホントすごいよ!!頭の女だよ!?かっこよすぎっ」


「うん・・あたしなんかで本当にいいのかな・・・ 陸さんのこと好きだけど全然何も知らないし・・」


「それはこれから徐々にわかっていくんでしょ!
あたしも亮と最初はそうだったもん」


「そうなのかな・・」



あたしと栞は寄り添い、真っ暗で大きな黒い海を見つめた。


まだ夢のようなこの出来事をかみしめながら。