大きな暖かい手。


彼にどんな過去があったのかなんて、この時は知る由もなかった。





「・・・じゃ、よろしくな?」



陸さんはあたしの頭をポンポンと撫でて、栞達の方へ歩いて行く。



陸さんの彼女・・・?


信じられない・・・あたしが!?


本気になれないと言った陸さんの言葉が気になるけど・・・


・・・たとえ本気じゃなくてもそばにいれるだけで嬉しい。


陸さんがまたあたしの居場所を作ってくれた。


それだけであたしの生きる糧となる。





急に周囲が騒がしくなり、栞があたしのもとへ走ってくるのが見えた。



「ちょっとちょっとちょっとーーーー!!!」



すごい興奮状態の栞。



「あんたッ陸さんと付き合うんだって!?」



栞たちに言ったんだ・・・



「う・・うん・・そうみたい・・あたしも信じらんないんだけど・・」



本当に信じられない。


夢なんじゃないかって思う。



「まーじーでぇ・・ホントすごーい・・・」



口を両手で押え、栞も信じられないといった様子。



「陸さんのことはずっと好きだったけど・・・」



あたしは陸さんに言われた事を栞に告げた。