「恨んでいないっていったら嘘になるけど・・・俺はもうあんたはいないもんだと心ん中で思ってたから。でもこの前岩沢で世話になった人にあんたの事聞いて。正直会ってみたいって思った。」
「陸・・・ごめんね、本当にごめんなさい・・・あの人からあなたを守るには・・・ああするしかなかったの。親や親戚と離縁した私にはああするしか・・・だから本当はこうやって会う資格だって私にはないのにね・・・」
細くて白くて陸さんに良く似た彼女が肩を震わせて泣いている。
「もーいいよ。本当にもう恨んでも憎んでもない。いや、逆にありがとうって感じだし」
『え??』
陸さんのお母さんとハモッてしまった。
その時、ぐいっと腕を引っ張られる。
「こいつに逢えたから。俺、岩沢に行ってなきゃこいつに出会ってないし。だからいいんだよ。あんたが俺をあそこに預けたのは正しかった。本当に感謝してる。」
陸さん・・・
そんな風に想っててくれてたの・・・!?
鼓動がうるさすぎて陸さんのお母さんに聞こえちゃうんじゃないかと思って焦った。
「そう・・・ありがとう陸…」
彼女は涙を流しながら笑っていた。