「わからないのも無理ないかなぁ、君と最後に会ったのは君がまだ10歳の時だったからね。私は佐々木と申します。施設でしばらく陸くんと生活を共にしていたんだけど・・・覚えていないかな?」



「・・・佐々木さん!?」



「ああ、思い出してくれた?久しぶりだね・・・岩沢学園(児童養護施設)にこの前久々に顔を出したら君の話題になってね。ちょっと気になって色々探してしまったよ。ストーカーのような事してしまって悪いな」



そう言って豪快に笑う。


随分と明るい人だな・・・


陸さんは佐々木さんをアパートの中へ招き入れた。


あたしはお茶の用意をしようとキッチンへ向かうと陸さんも後から着いてきた。



「あの人、俺が施設にいたころお世話になった人。めっちゃ良い人だから」



こそっと耳打ちし、すぐに佐々木さんの所へ戻った。


あたしが不審に思っていた事気にしてくれてたのかな・・・


陸さんはちゃんとそういう所見てくれているから嬉しい。




「彼女か?陸くんも立派になったな~ちゃんと一人で生活しているんだもんな」



「いや、俺なんてまだまだです。それより今何してるんすか?」




「岩沢を辞めてから保育園に勤めて、それで今は園長をしているよ。子供はいいな、純粋で可愛くて。俺は一生子供と接する仕事を続けていきたいって思うよ」