優しく微笑む百合さんのお母さん。



「だからあなたが重荷に感じることはないのよ。百合はあなたと付き合って幸せだったんだもの・・・ごめんなさいね。あなたを随分長い間苦しめてしまって・・・だからもういいの。あなたはあなたの人生を歩んで。ほら、こんなにあなたを思ってくれている女の子が側にいるんだから」



あたしはいつの間にか涙を流していた。


陸さんの手が震えている。思いが痛いほど伝わってくる。



今、長い間絡まっていた糸がほどけて、新しい扉が開かれようとしている。



4年間もずっと心の中に閉じ込めていた物。


それが今スーっと解き放たれる。




あたしたちは百合さんの両親と会話をしながら紅茶を飲んだあと、仏壇の百合さんにお線香をあげた。


あ・・・これが百合さんなんだ…


初めて見る彼女は、写真の中で幸せそうに笑っている。


陸さんは無言でそっと手を合わせていた。




百合さんの両親に、今度お墓参りに一緒に行こうと誘われた。




「陸くん。また・・・いつでも来てくれよ」



「はい…ありがとうございました」




陸さんもあたしも、2人に笑顔を返した。


門を出て単車にまたがり、出発しようとエンジンをふかした時。


後ろから誰かに声をかけられた。