「いえ・・・俺は本当に取り返しのつかない事をしてしまったんです。今日も本当はここに来るべきか悩んだんですけど・・」



「私たちが・・・君をそうさせてしまったんだ。君はわざとあの時嘘をついた。そうだろう?」



「・・・え?」




百合さんのお父さんは、陸さんの子供じゃないっていうことに気付いてたの?



「私はそれを知っていながら君に当たってしまったんだ。・・・どうしようもない怒りと悔しさを全部君にぶつけてしまった。・・・それからしばらくしてとても後悔したし、君の事がずっと心配だったんだ」



陸さんはしばらくお父さんの顔を見つめ、俯いた。



「いえ。百合さんをあんな目に合わせてしまったのは俺のせいですから。俺はあの頃、何の力もないただのガキだったくせに、強くなったら百合を守ることができるって思いこんで・・・後先考えずに色んなことやってきました。それが目の前にいる百合の事を苦しめることになるなんて。あいつを守っていたようで守ってやれてなかった・・・」



今まで黙っていた百合さんのお母さんが静かに口を開いた。



「・・・陸くん?あの子は本当に幸せそうだったのよ。確かに門限を破ったり夜にでかけたり、怒られることはしていたけどね、あの子の顔見てるとわかるの。あなたと付き合ってからすごくイキイキしてるって。それはお父さんも同じように感じていてね?だからある程度は好きにさせようって。私達はそう考えていたの」