あたし達から一番遠い席に座っていた理香子はこっちを見ようとしない。
理香子にも・・・いつかわかってほしい。
そして認めてほしい。あたし達の事・・・。
「あー・・・ちょうどいいわ。ちょっとさぁ、この場を借りてみんなに話しておきたい事あんだけど・・・」
陸さんの言葉に遠くに座っていた人たちの動きも止まり、みんな一斉にこちらに注目した。
「な、なんだよー改まって・・・」
亮輔さんがただならぬ雰囲気を感じたのか、苦笑しながら言った。
あたしもドキドキしていた。
きっと陸さんは・・・・・・
「俺、乱華引退することにした」
シン・・・とその場が静まり返る。
「本気か・・・?」
「ああ。決めた」
亮輔さんの問いに陸さんは力強く頷いた。
「俺ももう18になるし、そろそろって考えてたんだけど…中々この世界から離れられなくてさ。おめーらといるとホント楽しくて辞めることとか考えたくなかった・・・でもコイツにもう心配かけさせたくねぇんだ」
陸さんの決意は本当だった。
まさかみんなの前でこんな風に言ってくれるなんて。
嬉しくて涙が出そう・・・