その夜、俺の単車は新港に向かっていた。


海岸沿いの国道を時速150キロは出ていただろうか、無我夢中で飛ばす。


今日はDeathの集会があるらしく、その場所を乱華の奴らから聞きだした。



あいつら・・・あいつらが百合に…!!


俺は一生許さねぇ。


怒りで頭がおかしくなりそうだ。




ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ・・・



数十台の単車が爆音を鳴らしている。


いつもは心地の良いこの爆音も今は耳触りだ。


近くにいた旗持ちの奴と目が合う。



「き・・・桐谷!」



そいつは俺の姿を見るなり大声で叫んだ。


すると、奥にいた宇都宮が気づいて、こっちに向かってきた。


勝ち誇ったような笑みを浮かべながら。



「・・・よう!桐谷さん。どーしたんだぁ?一人で」


「てめーに話があってきた」



俺は単車から降りて宇都宮に近寄った。


周りの奴らが俺達をとり囲む。



「百合に・・・俺の女になにしやがった」


「ハハハ・・・今頃気づいてんの?おバカちゃんだねぇ」


「うるせぇ!なにしたか聞いてんだよ!」


「・・・なにって・・・ちょっと可愛がってあげたんだよ、ありがたく思えや」


「・・・てめぇ・・・」