あ、手汗やばかったかも・・・


そんな事を一瞬思ったけど、すぐ目の前にいる桐谷陸の事で再び頭がいっぱいになる。



彼はにこっと笑うと、すぐに手を離し、亮輔さんと他の人達のところへ行ってしまった。



魂が抜けるような感覚に陥る。



「桐谷陸…」



あたしは小声でつぶやいていた。




「ちょっと奈緒ー!!いいなぁ!ずるいよぉ!陸さんと握手できるなんてー!あたしでさえもまだないのにぃ」



興奮して栞があたしに飛びつく。



「あ・・あたしだってびっくりだよ!本当にかっこいいね、あの人・・」



そう言うと栞は目を輝かせた。



「でしょ?!陸さんマジ格好良いしいいひとだし。最高なんだよねぇ~!!!」


「栞には亮輔さんがいるじゃんっ」



ひじで栞をどつくフリをした。



「そうなんだけどさっ陸さんは特別!!あの人は芸能人なみだもんっ雲の上の人ていうかさぁ…手が届かない存在だよっ!」



「だよねぇ・・・」