「うん・・・でも知らなかったからびっくりしちゃった」


「誰にも言ってない」


「え、ホント!?広樹にも!?」


「ああ、言ってね―な・・・」


「そっかー」


なぜか急に笑顔になった。



「なんで笑ってんだよ?」


「あ、ごめん・・・いや、陸の過去知ってるのって学校であたしだけなんだなぁって思ったら、嬉しくなっちゃって」


「嬉しい?」



「うん、だってあたし陸の事好きだもんッ」



百合は俺の前に仁王立ちになり、見つめきた。



「???なんだよ?」



じーっと凝視してくる百合に対して、俺は無愛想に言った。


百合の眉間にしわが寄る。



「もぉーどんかーん!!!」


「はぁ??」


「好きって言ってんのにさぁ!・・・・・・ねぇ、あたしと付き合わない??」


「・・・は?本気で言ってんの?」


「うん!」



百合は大きい瞳をぱちぱちさせながら見つめる。


俺はその眼力に負け、目を逸らして百合の脇をすり抜けて歩きだした。



「ありえねー、女と付き合うとか興味ねぇ」


「そんなこと言わないでさ、考えてみてよ!」


「だいたいさ、俺のどこがいいわけ?こんな冷たくて無口な奴の!」


「でも優しいよ」


「は?」



「陸は優しいよ・・・あたしと出会った時のこと覚えてる?」