誘う手の群れ

ふいに夢月の首筋にポトリと冷たいものが落ちてきた。


「ひゃ、こんどはなにか落ちてきた!」


そう言って夢月は首筋を掌で拭った。

そこにはぬめぬめとした感触のものが貼りついていた。

夢月がそのぬめぬめとしたものを引き剥がすようにして手にとってみる。

懐中電灯でそれを照らす。


「ひっ…ひっ…蛭だあ! おい! 桑名! 蛭が上から落ちてきた!」


狼狽しながら夢月はそれを振り払い、身体に他の蟲が付着していないか懐中電灯で照らし始めた。


「落ち着けって! 取手! てゆーか、おっかしいなあ……たしかこのあたりだったような気がするんだよなあ……例のバアさんが居た場所って……、マサぁ、もっと先だっけ?」


輝彦が夢月をなだめながらきとりごちる。


「もう少し先じゃなかったかもしれないなあ」


昌人は記憶をたぐり寄せながら答えた。


「よし、行ってみるか」


輝彦は周囲に注意をはらいながら洞窟の奥へと進んでいった。

その後に昌人が続く。

すっかり狼狽してしまっている夢月はいちばんうしろに回り、後を追うようにして進んだ。