「離して……!」 私は精一杯叫んだ。 しかし、顔を胸に埋めるように押しつけられ声はかき消される。 ―――その瞬間、私の中で何かがはじけた。 「いや」 身体はガタガタと震え、自分でも止められないくらいだった。 「―――いや、いや、いや、いやッ!」 「か、和葉ちゃん?」 さすがに私の様子がおかしいことに気づいたようで、二宮くんの力が緩んでいった。 私はその隙にその場から逃げた。 アパートに逃げ帰り、玄関の鍵を閉めると同時にずるするとその場にへたり込んでしまった。 .