そのあとの食事の味なんてあんまり覚えていない。
洒落たイタリアンかと思っていたが、連れていかれたのは意外にも和食のお店だったことが印象的だった。
帰りの車の中、思いついたように彼は話し出した。
「あ、ねぇ。夜景見に行かない?」
…夜景?
「い、いや…大丈夫です。帰りましょう?」
ふと恐怖心が芽生えた。
暗闇
二人きり
男。
思い出したくないのに。
…身体が震えてきた。
「うん。…やめとこうか」
私の異変に気づいたのか、彼は寄り道をせずに私をアパートまで送ってくれた。
.
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…