―もうすぐ桜の季節―

魔王は休み時間にせんべいを食べていた。

すると友達の女子生徒が

「もえちゃんいつもおせんべい食べてるね。なんかイメージと違うなぁ。そんなに好きなの?」

と聞いてきた。

「好きじゃよ」

今の季節は思い出さずにはいられない。

小学生の時の大事な大事な約束。

自分がせんべいを好きで食べている理由を魔王は話だした。

「小さい時からもえには生みの親がいなくてな、育ての親が寂しそうにしてるもえをせんべいで慰めてくれたんじゃ」

急に恥ずかしくなったのかとっさに魔王は小さい時の話をしだした。

嘘は話していない。

アーサンやメイヤには本当に感謝してる。

「だからせんべいが好きなんじゃよ」

やはりアレンとの出来事は自分の中の大切な思い出。
人に話すようなことではない。

魔王は友達の女子生徒に見えないように小さく微笑んだ。

「へー。そんなことがあったんだ。要はおせんべいで釣られちゃったんだね。意外にもえちゃんも単純なんだね」

いい雰囲気がぶち壊された。

「違っ!!」



修得:思い出