━次の日━

「なぁアレン、近こうよれ」

魔王はアレンを校舎裏に呼び出し、何やら話そうとしていた。

もちろんアレンはこのシチュエーションに何かを期待せずにはいられない。

「もえな実は……」

アレンはもはや恋する乙女の目になっていた。
実はアレンは何か不思議な魅力のある魔王に好意を寄せていた。

「魔法が出来るようになったのじゃ」

魔王は女の子だった。
秘密を秘密として秘密に出来ない女の子だった。
言うなと言われれば言ってしまう年頃の女の子だった。

「なんだぁ……」

アレンはアレンで酷くがっかりしたが、すぐに興味は魔法に向かった。

「なんだとはなんだ」

アレン自身魔法を見ることは珍しいことではなかったが、目の前の不思議な魅力をもつ少女が自慢気に話すことだ、興味を持たないはずはない。

魔王はアレンに得意気に魔法を見せ、アレンはそれを

「お前すげーな」

などと一生懸命よいしょし誉めながら見ていた。

秘密を話した魔王であったが、この時に魔法を見せた相手がアレンであったことで魔王は救われていたのだ。

魔王がこの事実に気づくのはまだ先の話。




修得:秘密の共有