数分後―― 「遅くなった」 「いいよ」 葎は家の前で少し立ち止まると、 「石田さ、好きな人とかいないの?」 「え?」 葎に決まってる って言いたかった口は残念ながら聞き返してしまった。 「だから…俺はお前が好き…だから!」 いきなり大声で叫んだ。 「好き…?」 「うん、大好きだ」