自転車で夜の冷たい空気の中を進んでいく。

仕事の疲れで、身体も頭も重かった。




コンビニの角を曲がると、桜並木に囲まれた真っすぐな一本道。



しかし、季節は真冬だ。




春には、桜のアーチの中を自転車で颯爽と走る。


舞い落ちる花びらに癒される楽しみもあるが、残念ながら桜の木は寒々しい裸を晒しているだけだ。






築二十一年、家賃四万八千円のボロアパートが俺の棲家。



建てられたばかりの頃は真っ白だったであろう外壁も、今ではすっかり黒ずんで灰色がかっている。





駐輪場に自転車を停め、二階の自分の部屋を見上げれば明かりが灯っていた。