いっそ殺してほしい。
世界を支配していた感情。母が部屋に入ってきていた。椅子に縛られていた私は、特に助けを求めることもしなかった。

まず頭。
母は予備動作なしで殴る。今日は灰皿ね、なんて思考をしていたことに驚く。往復して二発目。

殺さない理由は決まっていた。処理に困っていただけではない。分解してゴミ袋に押し込めば簡単だったが他に理由があるならきっとこれだろう。

「泣きなさい」

母は狂乱のごとく声を上げ、輪郭が歪むほど笑っていた。濁りも光もない瞳が私を映していた。