「ハル、いる?」


「なに、サク?」


ハルの部屋に入ると、ハルはいつものように何をするわけでもなく、雑誌を捲っていた。



「若菜ちゃん、うちに謝りに来たよ」


「ああ、菓子折り持ってでしょ?うちにも山程届けて帰ったよ」


「そ。…あの2人、どうなんの?」



ベッドに腰掛けながら、私はハルに尋ねた。

ハルは眺めていた雑誌をパタリと閉じて、私の方を向いた。



「親父が話してみるって言ってたから、そうそう悪い方にはいかないんじゃない?そもそも向井は気に入られてるし」


「そっか。なら、良かった」



私がほっと息を吐くと、ハルはくすりと小さく笑った。



「相変わらずお人好しだね、サクは」


「…悪かったね」


「褒めてんだけど、一応」

「全然褒め言葉に聞こえないんですけど」



あー、また皮肉。
素直になれない自分が嫌になる。


こんなんじゃダメだ。

ほら、ちゃんと決めたんでしょ?


私は意を決して口を開いた。



「あのさ、ハル。聞きたいことがあるんだけど…」