「逃げんなよ…」 藤野は何も言わない。 「麻衣と何があったかわ分かんないけど…俺とは関係ないじゃん…」 藤野の顔を見上げると 目にはいっぱい涙が溜まっていた。 「藤野…」 「お願い…誰のものにもならないで…」 「え??ちょ…藤野!?」 藤野はそれだけ言うと 俺の手をほどいて どこかに行ってしまった。 藤野が去った屋上は 今まで見たことないくらい 静かに思えた。