「ミルク?」



街をフラフラと歩く美留久に最初に気付いたのは水谷だった。

彼は不良グループ仲間と共に夜の街へ繰り出すところだったのだ。

が、仲間と言っても形ばかり。

力の強いリーダーが全てを取り仕切る徒弟の集合体。

水谷はその下っ端だった。


「お前、そんな薄着でこんなとこ、何ほっついてんだ!」


美留久はそんな水谷の言葉にも反応することなく、ただ我を忘れて歩き続けた。


「ミルク!」


叫んだ水谷の声に、グループの男達が後ろを振り返った。


「なんだ、なんだ?

こりゃ、坊やのお友達か?

もしかして……、こいつぁ、一郷美留久か?」


水谷はしまった、と思ったが時は既に遅かった。


彼は美留久の手を引き、彼女を自分の後ろ手に隠した。