樹はそんな聖夜の姿を見て、一人悩んでいた。 このまま、両親との想い出のつまったこの場所に、留まることが聖夜にとって良いことなのかどうか、思いあぐねていたのだ。 聖夜の身体に残された傷跡が、周りにあの事故の記憶を呼び起こさせる。 あの事故はそれほどにショッキングな大事故だった。 (それが聖夜の心にどんな傷を残すのか……) 樹は想像しただけでも心が痛んだのだ。 (聖夜が動けるようになったら、ここを離れた方がいいかもしれない……) 樹はそう漠然と考えていた。